経営

荷待ちは30分を超えると課金される|待たせる側から見た待機時間料の計算

中谷 峻公開 株式会社リズムチェンジ

結論

標準的な運賃では、定められた場所と時間に車両が到着してから、荷主側の責により30分を超えて待機した場合に待機時間料が発生します。最初の30分は運賃の原価に含まれるため課金されず、30分を超えた分が30分ごとに加算されます。単価は小型車1,680円、中型車1,760円、大型車1,890円、トレーラー2,220円。積込料や取卸料の時間と合わせて2時間を超えると、超えた分の単価はそれぞれ2,010円、2,110円、2,270円、2,670円に上がります。待機時間は都度測定が前提で、過去6か月の平均値などを用いることは認められていません。

2024年3月の告示で、待機時間に単価がついた

2024年3月22日、国土交通省が新たな標準的運賃を告示しました。運賃水準を8%引き上げ、あわせて荷役の対価等を新たに加算する内容です。標準貨物自動車運送約款も同日に告示され、同年6月1日から施行されています。この改定で実務に影響が大きいのが待機時間料で、荷主都合でトラックを待たせた時間に明示的な単価がつきました。自社の工場や物流センターから出荷している荷主にとっては、トラックを待たせている当事者が自分たちなので、他人事では済まない話です。

30分を超えた分から発生する

国土交通省のQ&A集は、待機時間料を「定められた場所と時間に車両が到着してから、荷主側の責により30分を超えて待機した場合に、発生した待機時間に応じて収受する料金」と定義しています。

最初の30分は課金されません。 標準的な運賃の原価に、あらかじめ30分の待機時間が見込みとして含まれているためです。そのため計算では待機時間の全体から30分を差し引き、1時間待たせたなら課金対象は30分になります。

単価は車格で決まる

車格 30分ごと 合計2時間を超えた分
小型車(2tクラス) 1,680円 2,010円
中型車(4tクラス) 1,760円 2,110円
大型車(10tクラス) 1,890円 2,270円
トレーラー(20tクラス) 2,220円 2,670円

出典は国土交通省のQ&A集です。右の列は、積込料や取卸料の適用時間と合わせて2時間を超える場合の単価で、長く待たせるほど1単位あたりが高くなります。

2時間を超えたかどうかの判定では30分を差し引かず、車両が到着した時刻から数えます。 課金対象の計算では30分を引くのに、2時間の判定では引かないので、ここは取り違えやすいところです。

小型車で2時間15分待たせた場合の計算例

Q&A集にある例を、小型車で2時間15分待たせた場合についてそのまま引きます。到着から2時間の分には上段の単価が適用され、120分から30分を引いた90分を30分ごとに数えて3回、1,680円の3回分で5,040円です。2時間を超えた15分には下段の単価2,010円が1回かかり、合計7,050円になります。

これが1台分の金額です。朝に10台が集中して、平均でこの程度待たせているなら、その日だけで7万円が動きます。

平均で丸めることは認められていない

運用上いちばん負担が重いのは、おそらくこの点です。Q&A集は、待機時間について過去6か月の平均値などを用いるのではなく、都度測定することを前提としていると明記しています。理由として挙げられているのは、物流の効率化により待機時間を減らすことが求められているからです。

1台ごとに到着時刻と作業開始時刻を記録することが前提になるので、紙の受付簿に到着時刻だけ書いて、あとは記憶で処理する運用では、請求されたときに中身を検証できません。記録がなければ、荷主側は請求に反論する材料も持てないことになります。測っていないことは、待たせていないことの証明にはなりません。

荷主が自分で積んでも、待機時間は発生する

荷主が自分で積込みや取卸しを行う場合、積込料と取卸料は発生しないので、作業をこちらで持てばその分の料金は請求されません。ただしその間も、ドライバーは待っています。 Q&A集は、荷主が積込みを行っている時間はドライバーにとって待機時間にあたるため、待機時間として扱うとしています。

作業を内製しても、時間が延びれば費用は出ていきます。費用を抑えるには、作業の分担を見直すより、ドライバーを拘束している時間そのものを短くする必要があります。

待機時間料の対象にならないもの

加算の対象は荷主都合による待機なので、すべての待ち時間が課金されるわけではありません。予期せぬ渋滞などで運行が長期化した場合は、原則として対象外とされています。運送事業者が自発的に早く到着し、指定時間まで待った時間も待機時間には含まれません。時間指定より早く来て待っている分は、荷主の責任の外です。 これを区別するためにも、到着時刻の記録が要ります。

標準的運賃は目安であって、料金表ではない

標準的な運賃は、ドライバーの労働条件を改善し事業を持続的に運営するための参考となる指標として告示されたもので、この単価での請求が法律で強制されているわけではありません。一方で、2024年の改正は、荷待ちと荷役にかかる費用を荷主に適正に転嫁できるようにすることを目的に置いています。運送会社との交渉では、この単価がたたき台として持ち出されると考えておくのが実際的です。

私は金額そのものより、待たせた時間が金額に換算される土俵ができたことのほうが大きいと考えています。以前は運賃に溶けていた待機の費用が、請求書の行として見えるようになりました。

削減の対象は、長時間待たせている一部の車両

待機時間料は30分を超えた分にかかり、2時間を超えるとさらに単価が上がります。そのため、平均を少し下げても金額はあまり変わらず、長く待たせている一部の車両を減らすほうが大きく動きます。朝に集中する時間帯の数台や、特定の品目で毎回長引く積込みが、金額の大半を作っています。全体を均そうとするより、待ちが集中している時間帯と品目から手をつけるほうが早く効きます。

そのためには、どの車両がいつ来ていつ作業を始めたかが1台ずつ分かっている必要があります。荷待ちの記録については荷待ち時間の記録は義務かで整理しています。

よくある質問

荷待ち時間は何分から課金されますか?
30分を超えた分からです。標準的な運賃の原価にはあらかじめ30分の待機時間が含まれているため、最初の30分には待機時間料が発生しません。30分を超えた場合、待機時間の全体から30分を差し引いた時間について、30分ごとに料金が加算されます。
待機時間料はいくらですか?
標準的な運賃では、30分ごとに小型車1,680円、中型車1,760円、大型車1,890円、トレーラー2,220円です。積込料や取卸料の適用時間と合わせて2時間を超える場合、超えた部分はそれぞれ2,010円、2,110円、2,270円、2,670円になります。
渋滞で遅れた場合も待機時間料の対象になりますか?
なりません。加算の対象は荷主都合による待機です。予期せぬ渋滞などにより運行が長期化した場合は、原則として待機時間料の対象外とされています。運送事業者が自発的に早く到着し、指定時間まで待った時間も待機時間には含まれません。
待機時間は毎回測る必要がありますか?
必要です。国土交通省のQ&A集は、過去6か月の平均値などを用いるのではなく都度測定することを前提としている、と明記しています。物流の効率化により待機時間を減らすことが求められているためです。
荷主が自分で積込みを行えば料金はかかりませんか?
積込料と取卸料は発生しません。ただし荷主が積込みを行っている間、ドライバーにとってはその時間も待機時間にあたるため、待機時間として扱われます。作業を自社で持っても、時間が延びれば費用は発生します。
出典
中谷 峻株式会社リズムチェンジ代表。倉庫のトラック受付をLINEで行うバースナビを提供。ドライバー300人への実態調査を自社で実施。
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