物流効率化法の特定事業者4,190件を数える|倉庫は全国56社、うち半分が東京
物流効率化法にもとづく特定事業者の名簿は、特定第一種荷主1,792件、特定第二種荷主1,446件、特定連鎖化事業者等19件、特定貨物自動車運送事業者等877件、特定倉庫業者56件の延べ4,190件です。重複を除いた実社数は3,039社で、1,132社が2区分以上に指定されています。倉庫の56社は営業倉庫6,582者の0.85%にあたり、そのうち32社は倉庫だけで指定を受けています。指定は国からの通知ではなく事業者自身の届け出で始まるため、この名簿は届け出た会社の一覧であり、基準を超えた会社がすべて載っているわけではありません。
物流効率化法にもとづく特定事業者は、2026年8月27日時点で延べ4,190件が指定されています。重複を除いた実社数は3,039社です。このうち倉庫として指定されているのは56社で、営業倉庫の事業者数6,582者の0.85%にあたります。
名簿そのものは国土交通省が5つのPDFで公表していますが、集計した数字はどこにも出ていません。当社で全件を数えました。
数えたもの
国土交通省の「物流効率化法」理解促進ポータルサイトが、区分ごとに名簿を公開しています(特定事業者の指定)。いずれも業種名、事業者名、主たる事業の所在地が並んだ一覧で、法人番号や取扱量は載っていません。
| 区分 | 件数 | 指定の基準 |
|---|---|---|
| 特定第一種荷主 | 1,792 | 取扱貨物の重量9万トン以上 |
| 特定第二種荷主 | 1,446 | 9万トン以上 |
| 特定連鎖化事業者等 | 19 | (フランチャイズ本部などが対象) |
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 877 | 保有車両台数150台以上 |
| 特定倉庫業者 | 56 | 貨物の保管量70万トン以上 |
| 合計 | 4,190 |
国土交通省は区分ごとの合計件数を公表していないため、数え漏れがないことを別の方法で確かめました。5つのPDFに載っている行をすべて、事業者の行か、日付や見出しやページ番号かに振り分け、どちらにも入らない行が1行も残らないことを確認しています。
同じ会社が複数の区分に載るため、延べ4,190件に対して実社数は3,039社です。1,120社が2区分、12社が3区分に指定されています。荷主として指定された会社は2,141社あり、そのうち1,101社は第一種と第二種の両方でした。自社で作ったものを出荷し、かつ原材料を受け取っている製造業が、両方に該当します。
倉庫は全国で56社しかない
倉庫業を営む事業者は6,582者います(一般社団法人日本倉庫協会「営業倉庫の現状と課題について」令和6年12月10日、数値は令和3年度・出典は数字で見る物流2023)。そのうち98.9%が中小企業です。特定倉庫業者はその0.85%にあたる56社で、業界の規模からするとごく一部にとどまります。
この少なさは制度の設計どおりです。国土交通省は基準の決め方を「保管量が多い順に対象とし、全体の50%をカバーする基準値及び対象事業者数を算出」と説明しており、0.85%の事業者が国内の保管量のおよそ半分を持っているという前提で線が引かれています。荷主側も運送側も同じ考え方で、取扱量や輸送能力の多い順に上から半分を押さえる設計です。
倉庫を運営していて自社が対象かを知りたいなら、保管量が70万トンを超えているかを確認してください。名簿に並んでいるのは三菱倉庫、三井倉庫、住友倉庫といった倉庫専業の上場企業と、キリングループロジスティクスやサントリーロジスティクスのようなメーカーの物流子会社が中心です。単独拠点や数拠点の運営で届く水準ではないと考えてよいでしょう。
56社のうち32社は倉庫だけで指定されている
56社の顔ぶれを見ると、倉庫専業の会社だけが並んでいるわけではなく、24社は他の区分にも名前があります。
| 重なり方 | 社数 |
|---|---|
| 特定貨物自動車運送事業者等にも指定 | 22 |
| 荷主としても指定 | 4 |
| 倉庫だけで指定 | 32 |
株式会社日新と山九株式会社の2社は、倉庫と運送と荷主の3区分すべてに載っています。運ぶ機能と預かる機能を両方持ち、さらに自社の貨物も動かしているということです。ヤマト運輸株式会社、日本通運株式会社、センコー株式会社、鴻池運輸株式会社のように運送で知られた会社も、保管量では倉庫の基準に届いています。
全56社は次のとおりです。
| 所在地 | 事業者名 | 他区分 |
|---|---|---|
| 北海道 | 株式会社ホームロジスティクス | |
| 群馬県 | 日本運輸株式会社 | 運送 |
| 埼玉県 | 株式会社トーウン | 運送 |
| 東京都 | ヤマト運輸株式会社 | 運送 |
| 東京都 | 株式会社ロジスティクス・ネットワーク | |
| 東京都 | 株式会社ナカノ商会 | 運送 |
| 東京都 | ニッコン株式会社 | 運送 |
| 東京都 | 東洋水産株式会社 | 荷主 |
| 東京都 | 株式会社ヤマタネ | |
| 東京都 | アサヒロジ株式会社 | |
| 東京都 | F-LINE株式会社 | 運送 |
| 東京都 | 株式会社ベスト・ロジスティクス・パートナーズ | |
| 東京都 | ケイヒン株式会社 | |
| 東京都 | 日本ロジテム株式会社 | 運送 |
| 東京都 | 日本通運株式会社 | 運送 |
| 東京都 | 王子物流株式会社 | |
| 東京都 | Umiosロジ株式会社 | |
| 東京都 | 安田倉庫株式会社 | |
| 東京都 | 澁澤倉庫株式会社 | |
| 東京都 | キリングループロジスティクス株式会社 | |
| 東京都 | 株式会社ヒューテックノオリン | 運送 |
| 東京都 | 株式会社キユーソー流通システム | |
| 東京都 | 名糖運輸株式会社 | 運送 |
| 東京都 | ロジスティード東日本株式会社 | 運送 |
| 東京都 | 三菱倉庫株式会社 | |
| 東京都 | 三井物産グローバルロジスティクス株式会社 | |
| 東京都 | 三井倉庫株式会社 | |
| 東京都 | 佐川グローバルロジスティクス株式会社 | |
| 東京都 | 大塚倉庫株式会社 | |
| 東京都 | MDロジス株式会社 | |
| 東京都 | SBS東芝ロジスティクス株式会社 | |
| 神奈川県 | 横浜冷凍株式会社 | 荷主 |
| 神奈川県 | 株式会社日新 | 運送・荷主 |
| 神奈川県 | 丸全昭和運輸株式会社 | |
| 神奈川県 | 東部ネットワーク株式会社 | 運送 |
| 岐阜県 | 濃飛倉庫運輸株式会社 | 運送 |
| 静岡県 | 株式会社富士ロジテックホールディングス | |
| 静岡県 | 鈴與株式会社 | |
| 愛知県 | 東陽倉庫株式会社 | |
| 愛知県 | トランコム株式会社 | |
| 愛知県 | 名港海運株式会社 | |
| 三重県 | 日本トランスシティ株式会社 | 運送 |
| 京都府 | 株式会社中央倉庫 | |
| 大阪府 | サントリーロジスティクス株式会社 | |
| 大阪府 | NX・NPロジスティクス株式会社 | |
| 大阪府 | 株式会社マルカミ物流 | 運送 |
| 大阪府 | 大和物流株式会社 | 運送 |
| 大阪府 | 鴻池運輸株式会社 | 運送 |
| 大阪府 | ロジスティード西日本株式会社 | 運送 |
| 大阪府 | センコー株式会社 | 運送 |
| 大阪府 | 株式会社ニチレイ・ロジスティクス関西 | |
| 大阪府 | 株式会社住友倉庫 | |
| 兵庫県 | 株式会社上組 | 運送 |
| 兵庫県 | 川西倉庫株式会社 | |
| 福岡県 | ロジスティード九州株式会社 | |
| 福岡県 | 山九株式会社 | 運送・荷主 |
特定倉庫業者の半分は東京都にある
56社のうち28社が東京都で、ちょうど半分です。大阪府9社、神奈川県4社、愛知県3社と続き、東京と大阪と愛知だけで71.4%を占めます。逆に名簿へ1社も載っていない県が34あり、東北6県と四国4県は全滅でした。
偏りは本社所在地の記載によるところが大きいはずです。名簿が持っている住所は「主たる事業の所在地」なので、本社が東京にある会社の倉庫が全国に散っていても東京として数えられます。それでも、倉庫の基準を満たす規模の運営主体が東京の本社に集中しているとは言えます。
他の区分と比べると偏りの強さが分かります。特定第一種荷主は46都道府県に散り、東京都の割合は36.6%です。特定貨物自動車運送事業者等はさらに広く、東京都18.2%で、東京と大阪と愛知を足しても34.8%にとどまります。
荷主の6割は製造業
特定第一種荷主1,792件の業種を見ると、製造業が1,044件で58.3%を占めます。
| 業種 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 製造業 | 1,044 | 58.3% |
| 卸売業、小売業 | 485 | 27.1% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 72 | 4.0% |
| 建設業 | 52 | 2.9% |
| 複合サービス事業 | 51 | 2.8% |
| 鉱業、採石業、砂利採取業 | 28 | 1.6% |
製造業と卸売小売の2つで85.3%です。3番目には電気・ガス・熱供給・水道業が72件で入っています。建設業52件のほうは鹿島建設、清水建設、大成建設、株式会社大林組といった大手がそろって名を連ねています。
倉庫業を営む会社が荷主として指定されている例もあります。自社で貨物を所有して発送していれば、倉庫であっても荷主として判定されるためです。他社の貨物を預かっているだけなら、荷主の判定からは外れます。
指定されると何が変わるか
義務は区分によって違います。中長期計画の作成と定期報告は4区分すべてにかかりますが、物流統括管理者(CLO)の選任義務は特定荷主と特定連鎖化事業者だけで、倉庫業者と運送事業者は選任の対象外です。ここを取り違えると、必要のない役員選任を検討することになります。詳しくは物流統括管理者(CLO)とはにまとめました。
定期報告では、原則として荷待ち時間と荷役等時間を分けて計測し、施設ごとの平均時間を報告します。名簿に載っているなら、拠点ごとの記録の仕組みが要ります。取り方は荷待ち時間の記録は義務かに整理しました。受付と入退場の記録から積み上げる形であれば、バースナビのような受付システムでもまかなえます。特定事業者に関する規制は2026年4月1日から施行されており、今回の名簿は施行から約5か月後の状態にあたります。
名簿に載っていない会社が対象外とは限らない
ここが実務でいちばん誤解されるところだと考えています。指定が国からの通知で始まると思われがちですが、実際は前年度の実績を自分で把握し、基準以上であれば事業所管大臣へ届け出る、という仕組みです。国が全事業者の取扱量を調べて線引きしているわけではないので、この名簿は届け出た事業者の一覧と考えるのが正確でしょう。
基準を超えているのに届け出ていない会社が名簿に載らないのは当然です。国土交通省も「今後指定された事業者についても、随時公表します」と書いており、件数は増えていきます。2026年8月27日時点の4,190件は、途中経過として読むのが妥当です。
自社の取扱量が基準に近いなら、名簿を見て安心せずに、前年度の実績を計算してください。荷主なら取扱貨物の重量、倉庫なら貨物の保管量です。同業他社が名簿に載っているかどうかは、判断の材料から外してください。規模が近くても、届け出の有無で載り方が変わるからです。
なお、バース予約システムの導入率を国が調べた結果では、倉庫の17%、荷主の24%が導入済みでした(バース予約システムの導入率は倉庫17%、荷主24%)。こちらは特定事業者に限らず、倉庫業者と荷主を広く対象にした調査です。
制度の全体像は物流効率化法とはに整理しています。受付の記録から始めるなら、バースナビの料金と申込をご覧ください。
この記事は2026年9月20日時点の公開情報にもとづきます。集計対象は国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイトが公表する特定事業者5区分の名簿(令和8年8月27日時点)で、延べ4,190件すべてを数えました。件数の集計は当社が行ったもので、国土交通省が公表しているものではありません。名簿に法人番号は載っていないため、同じ会社かどうかは社名の表記をそろえたうえで判定しています。倉庫業の事業者数6,582者は一般社団法人日本倉庫協会の資料(令和6年12月10日、数値は令和3年度)から引いています。
よくある質問
- 特定事業者には何社が指定されていますか?
- 2026年8月27日時点で延べ4,190件です。内訳は特定第一種荷主1,792件、特定第二種荷主1,446件、特定連鎖化事業者等19件、特定貨物自動車運送事業者等877件、特定倉庫業者56件です。同じ会社が複数の区分に指定されるため、重複を除いた実社数は3,039社になります。
- 特定倉庫業者は何社ですか?
- 全国で56社です。営業倉庫の事業者数6,582者(令和3年度)と比べると0.85%にあたります。指定の基準は貨物の保管量70万トン以上で、国土交通省は「保管量が多い順に対象とし、全体の50%をカバーする基準値及び対象事業者数を算出」したと説明しています。
- 特定倉庫業者はどの地域に多いですか?
- 56社のうち28社が東京都で、ちょうど半分を占めます。大阪府9社、神奈川県4社、愛知県3社と続き、東京と大阪と愛知の3都府県だけで71.4%です。名簿に1社も載っていない県が34あります。
- 指定されると何をしなければなりませんか?
- 中長期計画の作成と定期報告が義務になります。物流統括管理者(CLO)の選任義務は特定荷主と特定連鎖化事業者だけにかかり、特定倉庫業者と特定貨物自動車運送事業者等には及びません。特定事業者に関する規制は2026年4月1日から施行されています。
- 名簿に自社が載っていなければ対象外ですか?
- 対象外とは限りません。指定は国からの通知で始まるものではなく、前年度の実績を自分で把握して基準以上なら事業所管大臣へ届け出る仕組みです。名簿は届け出た事業者の一覧であって、基準を超えた事業者を国が洗い出したものではありません。国土交通省も「今後指定された事業者についても、随時公表します」としています。
- 荷主に指定されているのはどんな業種ですか?
- 特定第一種荷主1,792件のうち1,044件、58.3%が製造業です。次いで卸売業と小売業が485件(27.1%)で、この2つで85.3%を占めます。電気・ガス・熱供給・水道業72件、建設業52件と続きます。