物流効率化法とは|倉庫が対応すべきことは規模で変わる
物流効率化法は、荷主と物流事業者に積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮を求める法律です。正式名称は物資の流通の効率化に関する法律で、2024年の改正により旧称の物流総合効率化法から変わりました。保管量70万トン以上の倉庫は特定倉庫業者に指定され中長期計画の作成などが義務になりますが、物流統括管理者(CLO)の選任義務は倉庫業者には及びません。
調べていくと中長期計画や物流統括管理者(CLO)という言葉が出てきますが、倉庫が規制の対象になる基準は貨物の保管量70万トン以上なので、ほとんどの倉庫には縁のない話です。
中小倉庫に求められるのは、待ち時間を数字で答えられる状態
先に立場を書きます。単独拠点や数拠点の倉庫がこの法律に備えて用意しておくものは、トラックを何分待たせているかを聞かれたときに答えられる記録の一つだけです。保管量70万トンという指定基準に届いていなければ報告も届出も罰則も関係がないので、条文を読み込んだり、中長期計画の書き方を覚えたりする必要はありません。それでも記録が要る理由は行政の側にはなく、取引先の側にあります。記事の後半で詳しく書きます。
旧称の「物流総合効率化法」は同じ法律を指す
検索すると物流効率化法と物流総合効率化法の両方が出てきて別々の制度に見えますが、どちらも同じ法律を指しています。2024年に成立した「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和6年法律第23号)によって、法律の題名そのものが書き換えられました。改正前の名称は「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」で、通称が物流総合効率化法でした。改正後が「物資の流通の効率化に関する法律」で、通称が物流効率化法です(e-Gov法令検索、法令番号 417AC0000000085)。
改正前のこの法律は、物流施設を整備する事業者を認定して税制上の特例を与える制度が中心でした。その認定制度を残したまま、2024年の改正で荷待ち時間の短縮などに取り組む義務が加わりました。物流総合効率化法で検索して倉庫の認定や補助の話が出てきたら、それは古い情報ではなく、同じ法律の認定制度の部分について書かれたものです。
2025年4月と2026年4月、二段階で施行された
改正法は段階を踏んで動きました。国土交通省の資料によれば、努力義務にあたる部分が2025年4月、特定事業者に関する規制が2026年4月に施行されています(国土交通省「物流効率化法について」)。2026年8月の時点でどちらも施行済みなので、この記事では、すでに運用されている制度として説明します。
規模を問わず課されるのは、荷待ち時間短縮の努力義務
努力義務のほうは、規模に関係なくすべての荷主と物流事業者にかかります。求められているのは積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮の三つ(国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト、2026年8月時点)。
倉庫が直に関わるのは後ろの二つで、トラックが着いてから作業が始まるまでの時間と、積み下ろしにかかる時間を指します。努力義務なので、短縮できなかったこと自体に罰則はありません。罰則が関わってくるのは、特定事業者に指定された場合です。
荷待ち時間を記録すること自体も義務ではありません。この点は荷待ち時間の記録は義務かで、測り方や残すべき項目まで詳しく書いています。
倉庫が規制の対象になるのは保管量70万トンから
一定の規模を超えた事業者は特定事業者に指定されます。
| 区分 | 指定基準 |
|---|---|
| 特定荷主、特定連鎖化事業者 | 取扱貨物の重量 9万トン以上 |
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 保有車両台数 150台以上 |
| 特定倉庫業者 | 貨物の保管量 70万トン以上 |
出典は前掲の理解促進ポータルサイトです。
倉庫にとっての基準は保管量70万トンで、単独拠点の倉庫ではまず届かない規模です。自社が該当するかどうかは、この数字と自社の保管量を突き合わせれば判断できます。
見落としやすいのは、倉庫業とは別の立場で指定される場合です。倉庫業者としては基準に届かなくても、自社で貨物を所有して出荷しているなら荷主として判定され、取扱貨物の重量9万トン以上なら特定荷主になります。物流子会社を持つメーカーなどは、こちらで該当する可能性があります。
特定事業者になると、計画と報告が要る
指定された事業者には中長期計画の作成が義務づけられます。特定荷主、特定連鎖化事業者、特定貨物自動車運送事業者等、特定倉庫業者の四区分すべてが対象で、それぞれ法第38条、第46条、第56条、第65条に定めがあります。計画には、積載効率の向上と荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮について、実施する措置とその中身、目標、実施時期などを書きます。提出は毎年度が基本ですが、計画に変更がなければ5年に一度で済みます(国土交通省「中長期計画」)。中長期計画とは別に、定期報告の提出も義務です(同「定期報告」)。
CLOの選任義務は倉庫には及ばない
倉庫の担当者がいちばん誤解しやすいのがこの点で、物流統括管理者、いわゆるCLOの選任義務があるのは特定事業者のうち特定荷主と特定連鎖化事業者に限られ、特定倉庫業者は対象に入っていません(国土交通省「物流統括管理者(CLO)」)。
CLOは「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」とされ、役員クラスの経営幹部から選ぶ必要があります。担う職務は、中長期計画の作成、ドライバーの負荷を下げる方針づくりと体制整備、定期報告の作成、報告徴収への対応、社内の部門間連携、設備投資やデジタル化の計画づくりと評価まで及び、役員を一人充てることになるので、負担は軽くありません。
倉庫業として営んでいるかぎり、この負担とは無縁です。ただし前の節で書いたとおり、荷主として9万トンに該当したなら選任が必要になります。選任しなければ100万円以下の罰金、選任したうえで届出を怠れば20万円以下の過料です。指定を受けたら最初に片付ける手続きだと考えてください。詳しくは物流統括管理者(CLO)とはに書きました。
勧告に従わない場合は社名が公表される
行政措置の対象も特定事業者に限られ、四つの段階を踏みます。取組が国の判断基準に照らして著しく不十分だとまず勧告が出て、勧告に従わなければその旨が公表されます。それでも正当な理由なく措置をとらなければ命令が出され、命令に違反すると100万円以下の罰金です(国土交通省「勧告及び命令」)。
実務でこたえるのは、罰金よりも二段階目の公表のほうだと私は考えています。100万円という金額より、荷主や取引先に社名が知られることの損害のほうが大きいからです。特定事業者に該当しない倉庫は、この措置の対象外です。
規制の対象外でも、取引先から数字を求められる
多くの中小倉庫は指定の対象外で、報告義務もCLOも罰則も関係ありませんが、待ち時間の数字だけは別の経路で求められます。特定事業者に指定された荷主や大手の運送会社は、中長期計画と定期報告を出すために、荷待ち時間が実際に何分だったかという数字を集めなければなりません。待ち時間が発生しているのは倉庫の構内なので、その数字を持っているのは倉庫です。そのため荷主や運送会社は倉庫に聞きに来ます。中小倉庫にとってこの法律の影響は、行政からの指導より、取引先から「おたくでは何分待っていますか」と聞かれる形で現れます。
答えられなければ、待ち時間を管理していない倉庫だと受け取られかねません。反対に、数字をすぐ出せる倉庫は、その点で他の倉庫と差がつきます。2026年4月に特定事業者の規制が動き出したので、この問い合わせは今後増えていくとみています。
条文の読み込みは要らない、待ち時間を数字で答えられるようにしておけばいい、と最初に書いたのは、こういう意味です。バースナビは受付から作業完了までを自動で記録し、CSVで出せます。サービスの詳細はこちら。
何をどう記録すればいいかは荷待ち時間の記録は義務かに、規制の対象でない倉庫がなぜ影響を受けるのかは2024年問題で倉庫は何をすべきかに書きました。この法律を含む荷待ち関連の規制が、どういう順番で積み上がってきたかは物流規制の年表にまとめています。
この記事は2026年8月7日時点の公開情報にもとづきます。自社にどこまでの対応が求められるかは事業規模などの要件で変わるため、判断に迷う場合は国土交通省の「物流効率化法」理解促進ポータルサイトか所管省庁に確認してください。
受付と荷待ち時間の記録を仕組みとして持ちたい場合はバースナビをご検討ください。1拠点あたり月10,000円、2ヶ月は無料で試せます。
よくある質問
- 物流効率化法とは何ですか?
- 荷主と物流事業者に対し、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮に取り組む努力義務を課す法律です。正式名称は物資の流通の効率化に関する法律で、2024年の改正により旧称の流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律から変わりました。
- 物流効率化法と物流総合効率化法は別の法律ですか?
- 同じ法律です。物流総合効率化法は改正前の通称で、2024年の改正で正式名称が物資の流通の効率化に関する法律に変わりました。物流施設の認定制度は改正後も残っています。
- 物流効率化法はいつから施行されましたか?
- 努力義務などの部分が2025年4月、特定事業者に関する規制が2026年4月です。
- 倉庫が特定事業者になる基準は何ですか?
- 特定倉庫業者の指定基準は貨物の保管量70万トン以上です。特定荷主と特定連鎖化事業者は取扱貨物の重量9万トン以上、特定貨物自動車運送事業者等は保有車両台数150台以上が基準になります。
- 倉庫も物流統括管理者(CLO)を選任する必要がありますか?
- 必要ありません。選任義務があるのは特定荷主と特定連鎖化事業者で、特定倉庫業者は対象外です。ただし自社で貨物を所有して発送している場合、荷主としての基準に該当すれば選任が必要になります。
- 物流効率化法に違反するとどうなりますか?
- 対象は特定事業者に限られます。取組が判断基準に照らして著しく不十分な場合に勧告され、従わなければ社名が公表されます。正当な理由なく措置をとらないと命令が出され、命令に違反すると100万円以下の罰金です。
- https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/
- https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/planning/
- https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/clo/
- https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/recommendation/
- https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000085
- https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000029.html