2024年問題で倉庫は何をすべきか|規制の対象ではない倉庫が影響を受ける理由
2024年問題の規制が向いている相手は運送事業者であり、倉庫ではありません。それでも倉庫が影響を受けるのは、改善基準告示が定める1日13時間(最大15時間)の拘束時間という枠を、荷待ちが直接消費するからです。厚生労働省は荷主に求められる取組として、トラック予約受付システム等の提供を挙げています。
それでも倉庫が影響を受けるのは、1日13時間という拘束時間の枠を荷待ちが直接削っていくからです。制度が倉庫を名指ししていなくても、その影響は運送事業者の配車判断を経由して倉庫に返ってきます。
拘束時間には、運転していない時間も入る
2024年4月1日から適用されている改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)の数値です(厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」)。
| 項目 | 原則 | 例外 |
|---|---|---|
| 1年の拘束時間 | 3,300時間以内 | 労使協定により3,400時間以内(年6か月まで) |
| 1か月の拘束時間 | 284時間以内 | 労使協定により310時間以内(年6か月まで) |
| 1日の拘束時間 | 13時間を超えない | 最大15時間。長距離貨物運送(450km以上)は週2回に限り16時間 |
| 休息期間 | 継続11時間を基本 | 継続9時間を下回らない |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間以内、2週平均で1週44時間以内 | 定めなし |
| 連続運転時間 | 4時間を超えない | 中断は1回おおむね10分以上かつ合計30分以上 |
表は細かいのですが、倉庫の実務に影響するのは、拘束時間には荷待ちも荷役も含まれるとの一点のみです。
ドライバーの拘束時間の15%が、2時間の荷待ち時間で消える
1日の拘束時間の上限は原則13時間で、ここに入るのは運転時間だけではありません。出庫前の点呼、移動、荷待ち、荷役、休憩、帰庫後の作業まで、始業から終業までのすべてが含まれます。仮に荷待ちが2時間発生すれば、13時間の枠のうち約15%が荷待ちで消える計算になり、運送事業者から見ればその日にもう1件回れるかどうかが変わります。
連続運転時間の規定も絡みます。連続運転は4時間を超えられず、中断には合計30分が必要なので、荷待ちで予定が崩れると、この中断を取るタイミングまで組み直すことになります。
その結果、運送事業者は配車の段階で所要時間の読めない拠点を避けるようになります。配車を難しくしているのは、荷待ちが長いことそのものより、何分で終わるか分からないことのほうです。倉庫に罰則はありませんが、代わりに車が来なくなります。
厚生労働省の資料に、倉庫を名指しした記載はない
厚生労働省は荷主に求められる取組として、荷待ちと荷役等時間の短縮に向けた措置、その時間と取組効果の適切な把握、トラック予約受付システム等の提供、効率的な配車への協力、標準仕様パレット導入の受け入れを挙げています(厚生労働省「荷主の皆さまへ」)。この一覧では、トラック予約受付システム等の提供が、手段の一例としてではなく、求められる取組そのものとして並んでいます。取組効果の適切な把握が入っている点も倉庫に関係します。短縮したかどうかを把握するには短縮する前の数字が要るので、記録がなければ、取り組んだこと自体を示せないからです。
厚生労働省のこのページには、倉庫や物流センターの管理者を名指しした記載はありません。倉庫は制度上の当事者として扱われていないので、その点は事実どおりに受け止めてよいと考えます。義務でないことを義務のように書いている情報には注意が必要です。
倉庫に直接影響するのは物流効率化法
倉庫に直接影響するのは、2024年問題として語られる改善基準告示ではなく、物流効率化法です。こちらは倉庫を含む物流事業者に、荷待ち時間と荷役等時間の短縮を努力義務として課しています。報告などの義務が生じる特定倉庫業者の指定基準は、貨物の保管量70万トン以上です(国土交通省「「物流効率化法」理解促進ポータルサイト」、2026年8月時点)。中小や単独拠点の倉庫が該当することは、まずありません。
法律の全体像は物流効率化法とはに、記録の実務は荷待ち時間の記録は義務かに書きました。
着手する順番は、ばらつきの把握から
義務がない以上、着手するかどうかは経営判断になりますが、やると決めたなら取り組む順番があります。最初に確認するのは、平均の荷待ち時間よりも、ばらつきのほうです。だいたい30分、たまに3時間という拠点は、いつも1時間かかる拠点より嫌われます。配車を組む側にとっては、所要時間が読めないことが最大の障害になるからです。まず自拠点のばらつきを数字で持つところから始めてください。
その次に、到着の集中をならします。午前中に到着が固まる構造は荷主の当日出荷の慣行から来ていることが多く、倉庫の努力では動かせない部分が残りますが、受付の順序と呼び出しを管理すれば待機列の長さは変わります。三つ目は記録で、短縮の取組を示すにも、荷主に聞かれたときに答えるにも、記録が前提になります。厚生労働省が取組効果の適切な把握を挙げているのは、この意味においてです。
最後に、記録した所要時間を運送会社から見える形にします。所要時間が読める拠点は、配車の段階で選ばれやすくなります。荷待ちをゼロにできなくても、何分待つのかが分かれば、運送会社はそれを前提に配車を組めます。バースナビは受付と呼び出しをドライバーのLINEで完結させ、待ち時間を自動で記録します(サービスの詳細)。
倉庫にとって2024年問題は、規制よりも、車が来るかどうかに関わる問題です。罰則がないぶん対応しなくても何も起きないように見えますが、影響が表に出るころには、その倉庫はすでに配車から外れています。
設備投資をともなう改善であれば、省力化投資補助金が使える場合があります。
受付と待ち時間の記録を仕組みとして持ちたい場合はバースナビをご検討ください。1拠点あたり月10,000円、2ヶ月は無料で試せます。
よくある質問
- 2024年問題は倉庫にも規制がかかりますか?
- 改善基準告示と時間外労働の上限規制が向いている相手は運送事業者であり、倉庫ではありません。ただし物流効率化法により、倉庫を含む物流事業者には荷待ち時間と荷役等時間の短縮が努力義務として課されています。
- トラック運転者の1日の拘束時間は何時間ですか?
- 原則13時間を超えないものとされ、延長する場合の最大は15時間です。長距離貨物運送(450km以上)では週2回に限り16時間まで延長できます。2024年4月1日から適用されています。
- 連続運転時間のルールはどうなっていますか?
- 連続運転時間は4時間を超えないものとされ、中断は1回おおむね10分以上かつ合計30分以上が必要です。サービスエリア等に駐車できない場合は30分まで延長できます。
- 荷待ちが長いと倉庫にどんな不利益がありますか?
- 法的な罰則は倉庫にかかりません。ただし拘束時間の枠が決まっている以上、運送事業者は配車の段階で所要時間が読めない拠点を避けます。制度ではなく配車の実務を通じて影響が出ます。
- 国は倉庫や荷主に何を求めていますか?
- 厚生労働省は荷主に求められる取組として、荷待ち・荷役等時間の短縮、その時間と取組効果の適切な把握、トラック予約受付システム等の提供、効率的な配車への協力、標準仕様パレット導入の受け入れを挙げています。