法規制

物流統括管理者(CLO)とは|資格ではなく、役員から選ぶ役割

中谷 峻公開 更新 株式会社リズムチェンジ

結論

物流統括管理者(CLO)は、物流効率化法により特定荷主と特定連鎖化事業者に選任が義務づけられた役職です。資格試験や免許はなく、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者、つまり役員等の経営幹部から選びます。選任しなかったときは100万円以下の罰金、選任の届出を怠ったときは20万円以下の過料が科されます。特定倉庫業者と特定貨物自動車運送事業者等は対象外です。

物流統括管理者は、英語のChief Logistics Officerを略してCLOとも呼ばれます。選任しなければ100万円以下の罰金、選任の届出を怠れば20万円以下の過料が科されますが、倉庫業者と運送事業者はそもそも選任義務の対象に入っていません。

資格試験はなく、役員等の経営幹部から選ぶ

「物流統括管理者 資格」で調べている人が多いのですが、取らなければならない資格は存在せず、国土交通省が示しているのはどんな地位の人を充てるかという条件です。具体的には「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」と定められていて、そのうえで「重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任される必要があります」と書かれています(国土交通省「物流統括管理者(CLO)の選任」、2026年8月時点)。この書き方だと、物流部長では足りない可能性があります。制度が求めているのは、経営判断ができる立場の人を充てることです。物流の課題は調達や営業の意思決定から生じることが多く、物流部門の中だけでは動かせないという考え方が背景にあるとみています。

地位以外の条件はかなり緩く、国土交通省のよくあるご質問には、勤務場所も常勤か非常勤かも問わないこと、他の職務との兼務でかまわないこと、講習の受講を義務づけるものではないこと、選任した人物を対外的に公表する必要はないことが並んでいます(同「よくあるご質問・言葉の定義」)。専任の役員を新たに立てる話にはならず、既にいる役員の誰かに、物流を通しで見る責任を負わせる制度だと考えてください。

選任義務があるのは荷主だけ

対象は特定事業者のうち特定荷主と特定連鎖化事業者で、根拠は法第47条(特定荷主)と法第66条(特定連鎖化事業者)です。

区分 CLOの選任義務
特定荷主 あり
特定連鎖化事業者 あり
特定貨物自動車運送事業者等 なし
特定倉庫業者 なし

CLOを置かせる相手は、物流事業者ではなく貨物を出す側、言い換えると物流の量とタイミングを決めている側です。

荷主かどうかは、運送を手配しているかで分かれる

自社が対象かを判定するとき、最初につまずくのが荷主の定義です。物流効率化法の荷主は2種類あって、第一種荷主は自らの事業に関して継続して運送事業者と運送契約を結び、運送を委託する者を指します。第二種荷主は、他の事業者が手配したトラックのドライバーから貨物を受け取る者、または引き渡す者です。発荷主が運送を手配していれば、着荷主が第二種荷主に当たります。着荷主が手配している場合は、その着荷主が第一種荷主になります(国土交通省「よくあるご質問・言葉の定義」)。

見落としやすいのは、運送の手配を行わず、荷物を受け取るだけの事業者も第二種荷主として対象になる点です。部品を納入してもらっている工場や、原材料が届く製造拠点がこれに当たり、運賃を払っていないから無関係だという理解は通りません。判定は法人単位で、グループ会社か親子会社か、連結か非連結かに関わらず、個々の法人ごとに荷主の定義に当てはまるかを見ます。従業員規模も条件に入っておらず、物流子会社に物流を任せているメーカーの場合は、貨物の受渡しを指示しているのがどの法人なのかで結論が変わってきます。

指定の基準は9万トン。倉庫の70万トンより桁が一つ小さい

特定荷主と特定連鎖化事業者に指定される基準は、前年度の取扱貨物の重量が9万トン以上です。第一種荷主なら運送事業者に運送させた貨物の合計重量、第二種荷主ならドライバーから受け取った貨物と引き渡した貨物の合計重量を数えます(国土交通省「特定事業者の指定」)。

他の区分の基準は、特定貨物自動車運送事業者等が保有車両台数150台以上、特定倉庫業者が貨物の保管量70万トン以上で、倉庫の70万トンと比べると荷主の9万トンは桁が一つ小さくなっています。いずれも取扱量の多い順に全体の50パーセントをカバーする水準として引かれた線なので、届く企業はそれなりの数にのぼるとみています。

重量を把握していない会社は多いはずで、国土交通省も、軽い貨物を扱う発荷主や、卸売業や小売業のように着荷主になることが多い業種には換算を認めています。例示されているのは、商品マスタの重量データから集計する方法、容積を把握しているなら1立方メートルあたり280キログラムとして換算する方法、トラックの最大積載量を貨物の重量とみなす方法、売上金額や仕入金額から換算する方法の4つです。実務で使いやすいのは容積からの換算で、パレット単位の出荷量が分かれば概算が出せます。9万トンに届きそうかどうかは、まずこの換算で当たりをつけるのが早いと思います。

指定は通知ではなく自己申告から始まる

自社が特定事業者かどうかを国が教えてくれるわけではありません。前年度の実績を自分で把握し、基準以上なら事業所管大臣に届け出て、その届出を受けて各省庁が指定手続を行うという順序です。一度届け出て指定されれば、翌年度以降も基準以上であるかぎり再度の届出は要りません。基準を下回り、再び基準以上となることがないと明らかに認められるときは、指定の取消しを申し出ることができます。

原則として、手続きはオンラインで行います。2026年4月1日以降、e-Gov電子申請で物流効率化法の手続きを検索できるようになるとされていて、申請にはGビズIDが要り、国土交通省はGビズIDプライムの利用を勧めています。指定基準に届きそうな会社は、GビズIDの取得を先に済ませておくと届出の段階で詰まらずに済みます。指定された事業者の一覧は、特定第一種荷主、特定第二種荷主、特定連鎖化事業者等、特定貨物自動車運送事業者等、特定倉庫業者の区分ごとに公表されているので、取引先が指定されているかどうかもこの一覧で確認できます。

選任は「指定を受けた後、速やかに」

CLOの選任や中長期計画、定期報告といった規定の施行は2026年4月以降です。規模に関わらずすべての事業者にかかる努力義務のほうは、2025年4月に施行済みです。選任の期限について国土交通省は日数を示しておらず、「特定事業者の指定を受けた後、速やかに選定し、選定したときには遅滞なく届け出る」と書いています。変更したときも同じく遅滞なく届け出ます。

期限が日付で決まっていないぶん、起点になる指定の時点から逆算することになり、指定の届出を出す前に候補者の内諾まで済ませておくのが現実的です。役員人事に関わるので、取締役会の日程しだいで数週間はすぐに過ぎてしまいます。

罰則は4種類。重いのは選任しなかった場合

物流効率化法の罰則は義務ごとに分かれていて、特定荷主にかかるものは次のとおりです。

何をしなかったか 罰則
特定事業者の指定に係る届出をしない、虚偽の届出をした 50万円以下の罰金
物流統括管理者を選任しない 100万円以下の罰金
物流統括管理者の選任の届出を怠った 20万円以下の過料
中長期的な計画を提出しない 50万円以下の罰金

選任しないこと自体にかかる100万円以下の罰金と、届出漏れの過料20万円は混同されやすいのですが、金額も性質も違います。過料は行政上の秩序罰で前科になりませんが、罰金は刑事罰です。

これとは別に、努力義務の実施状況が判断基準に照らして著しく不十分な場合の流れがあります。勧告を受けても従わなければその旨が公表され、正当な理由なく措置を取らなければ命令が出て、命令に違反したときに100万円以下の罰金という順序です。CLOの選任義務違反は、この段階を踏まずにいきなり罰金の側へ置かれています。

仕事は9つ挙げられている

国土交通省は、CLOが統括管理すべき業務として次を挙げています。

  • 中長期計画の作成
  • トラックドライバーの負荷低減と物資の集中の是正のための方針づくりと体制整備
  • 運送や荷役等の効率化に必要な業務
  • 定期報告の作成
  • 貨物運送の委託や受渡しの状況に関する報告の作成
  • リードタイムの確保と発注の適正化のための部門間連携の構築
  • 設備投資、デジタル化、物流標準化の事業計画の策定と実施、評価
  • 職員研修などによる意識の向上
  • 物流効率化のための関係者との連携と調整

発注の適正化やリードタイムの確保は購買と営業の話で、設備投資は経営の話なので、並んでいる業務の多くは物流部門の仕事の範囲を超えています。国土交通省もCLOに「ロジスティクスを司る経営管理の視点」を期待していると書いていて、調達から販売まで通して物流を見る役割であり、社外の事業者との連携も進める立場だとしています。役員から選ぶという条件は、ここから来ていると読めます。

実務として最初に来るのは中長期計画と定期報告

9つの業務のうち、期限を伴うのは中長期計画と定期報告の2つです。中長期計画は、判断基準の取組事項を踏まえて、運転者一人当たり一回の運送ごとの貨物重量の増加、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮の3項目について書きます。それぞれ実施する措置、具体的な内容と目標、実施時期、参考事項の4点を記載する形です。提出は毎年度が基本ですが、計画内容に変更がないかぎり5年に一度で足りる運用が予定されています(国土交通省「中長期的な計画の作成」)。

定期報告は、指定を受けた翌年度以降の毎年度に出します。中身は判断基準の遵守状況をチェックリスト形式で答えるもの、関連事業者との連携状況を自由記述で書くもの、荷待ち時間等の状況の3つで、荷主と連鎖化事業者と倉庫業者には3つ目も求められます。手間がかかるのはこの3つ目で、自らが管理する施設の荷待ち時間と荷役等時間を、原則として分けて計測し、施設ごとの平均時間を報告することになっています。全施設の全運行を測るのが難しい場合にはサンプリングが許容される方向で、四半期ごとに任意の連続した5営業日以上、取扱重量の大きい施設から選ぶといった水準が検討されています。

1回の受渡しに係る荷待ち時間等が一定時間以内であれば報告を省略できる運用も検討されていて、その線として挙げられているのが1時間です(連鎖化事業者は荷待ち時間30分以内)。荷待ちと荷役を分けて計測した合計が1時間以内なら報告を省く、という案です(国土交通省「定期報告」)。数値は検討段階のものなので確定ではありませんが、方向としては、短くした事業者ほど事務が軽くなる形に寄せられています。

取引先にCLOが選任されると、倉庫にも影響が及ぶ

倉庫の立場から見ると、自社に選任義務がなくても無関係では済みません。取引先の荷主にCLOが立てば、荷待ち時間の短縮に責任を持つ役員がそこに現れることになり、その職務には中長期計画の作成と定期報告の作成が入っています。計画にも報告にも、荷待ち時間が何分だったかという数字が要ります。その数字を持っているのは待たせている側の倉庫なので、CLOが機能し始めた荷主ほど、委託先に実績を求めてくるとみています。役員が旗を振っている依頼は、担当者レベルの依頼より断りにくいはずです。

定期報告の説明には、寄託契約を結んだ相手が管理する施設についても荷待ち時間の状況を把握することが望ましい、と書かれています。把握できず報告義務を果たせない場合は、施設の名称を書いたうえで、寄託先とどう連携して短縮に取り組んでいるかを記載するよう求めています。数字を出さない倉庫は、取引先の報告書に名前と事情を書かれる側に回ります。

報告省略の基準が1時間で固まれば、1時間を切っていることを数字で示せる倉庫は荷主の報告作業をまるごと軽くできるので、委託先を選ぶときの判断材料になる可能性があります。短くしたと示すには短くする前の数字が要るため、聞かれてから記録を始めたのでは、比較できる過去の数字がない状態から出発することになります。バースナビは受付から作業完了までを自動で記録してCSVに出せます(サービスの詳細)。

記録の実務は荷待ち時間の記録は義務かに、倉庫側の指定基準は物流効率化法とはに書きました。物流効率化法全体の施行スケジュールも同じ記事にまとめています。


この記事は2026年8月27日時点の公開情報にもとづきます。中長期計画と定期報告の運用には検討中の項目が含まれます。自社の対応については国土交通省の「「物流効率化法」理解促進ポータルサイト」か所管省庁に確認してください。

取引先から荷待ちの数字を求められたときに何を選ぶかは、バース予約システムの選び方で整理しています。主要6サービスの価格と前提の違いはバース予約システムの比較表に並べました。

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よくある質問

物流統括管理者(CLO)とは何ですか?
物流効率化法により、特定荷主と特定連鎖化事業者に選任が義務づけられた役職です。中長期計画の作成や定期報告の作成、社内の部門間連携など、物流に関する業務全般を統括管理します。
物流統括管理者に資格は必要ですか?
資格試験や免許はありません。講習の受講も義務づけられていません。国土交通省が求めているのは資格ではなく地位で、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者、つまり重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任する必要があります。
物流統括管理者の選任義務があるのはどの企業ですか?
特定事業者のうち特定荷主と特定連鎖化事業者です。荷主の指定基準は取扱貨物の重量9万トン以上。特定倉庫業者と特定貨物自動車運送事業者等は選任義務の対象外です。
物流統括管理者はいつまでに選任すればよいですか?
特定事業者の指定を受けた後、速やかに選定し、選定したときには遅滞なく届け出る必要があります。変更したときも遅滞なく届け出ます。選任などの規定の施行は2026年4月以降です。
物流統括管理者を選任しないとどうなりますか?
100万円以下の罰金が科されます。選任はしたものの届出を怠ったときは、20万円以下の過料です。
物流統括管理者は他の役職と兼務できますか?
兼務できます。勤務場所も問われず、常勤か非常勤かも問われません。選任した人物を対外的に公表する義務もありません。
倉庫も物流統括管理者を選任する必要がありますか?
倉庫業者としては必要ありません。ただし自社で貨物を所有して発送している場合や、運送の手配をせずに貨物を受け取るだけの場合も荷主に当たるため、取扱貨物の重量が9万トン以上なら荷主として選任が必要になります。
出典
中谷 峻株式会社リズムチェンジ代表。倉庫のトラック受付をLINEで行うバースナビを提供。ドライバー300人への実態調査を自社で実施。
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