物流効率化法で何をすればいいのか分からない
物流効率化法がすべての荷主・物流事業者に課しているのは努力義務です。倉庫の場合、報告等の義務が生じる特定倉庫業者の指定基準は貨物の保管量70万トン以上で、中小・単独拠点が該当することはまずありません。ただし取引先の荷主が特定荷主に該当すると、委託先として実質的な対応を求められます。
この課題の構造
分かりにくさの原因は、性格の違う複数の制度が「2024年問題」「物流の法改正」という同じ言葉でまとめて語られていることにあります。倉庫にかかるもの、運送事業者にかかるもの、荷主にかかるものが混ざっています。
倉庫に直接関係するのは物流効率化法です。すべての荷主・物流事業者に対して、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮の3つに取り組む努力義務を課しています。2025年度から適用されています。
これとは別に、一定規模以上の事業者は「特定事業者」に指定され、2026年度から中長期計画の作成や定期報告といった義務が生じます。まず自社がどちらの立場かを確認するのが、判断の出発点です。
なぜ起きるのか
- 「義務化された」という表現が、運送事業者側の話と混同されている
- 荷待ち時間の記録義務は、貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく運送事業者の義務です(荷待ち2017年7月、荷役作業等2019年6月から)。倉庫の義務ではありません。この2つが同じ言葉で語られるため、倉庫側が自分の義務だと受け取ってしまいます。
- 特定事業者の指定基準が知られていない
- 倉庫の場合の基準は保管量70万トン以上です。この水準を知らないと、自社が報告義務の対象なのか判断できず、対応すべきかどうかも決まりません。
- 記録の様式や測定方法について具体的な指示がない
- 物流効率化法のポータルサイトには、記録・測定の具体的な方法や様式の指示は記載されていません(2026年8月時点)。「何をすれば足りるのか」の基準が示されていないため、着手の判断がつきません。
判断の基準になる数値
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 特定倉庫業者の指定基準 | 貨物の保管量 70万トン以上 | 物流効率化法(国土交通省・理解促進ポータルサイト) |
| 特定荷主・特定連鎖化事業者の指定基準 | 取扱貨物の重量 9万トン以上 | 物流効率化法(国土交通省・理解促進ポータルサイト) |
| 特定貨物自動車運送事業者等の指定基準 | 保有車両台数 150台以上 | 物流効率化法(国土交通省・理解促進ポータルサイト) |
| 適用時期 | 2025年度から努力義務、2026年度から特定事業者への義務 | 物流効率化法(国土交通省・理解促進ポータルサイト) |
打ち手
- 自社が特定事業者に該当するか確認する
- 特定倉庫業者は貨物の保管量70万トン以上、特定荷主・特定連鎖化事業者は取扱貨物の重量9万トン以上、特定貨物自動車運送事業者等は保有車両150台以上が基準です。倉庫を運営している場合、まず保管量を確認してください。
- 求められているのは「短縮」であって「記録」ではないと理解する
- 物流効率化法が課しているのは、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮です。記録そのものは求められていません。ただし短縮したことを示すには、短縮前の記録が必要になります。
- 荷待ち時間の算定方法を確認する
- 国土交通省が起算点と終点を示しています。起算点は到着時刻または指示された到着時刻、終点は荷役等の開始時刻。到着指示の有無で4パターンに分かれます。荷役等時間には荷積み・荷卸しだけでなく、検品、仕分、ラベル貼りなどの附帯業務も含まれます。
- 取引先の荷主の立場を確認する
- 自社が対象外でも、取引先の荷主が特定荷主に該当すると、サプライチェーン全体での取り組みの一環としてデータ提出を求められる可能性があります。基準は取扱貨物9万トン以上で、該当する荷主は珍しくありません。
バースナビを使う場合
バースナビは、受付から作業完了までを自動で記録します。記録の作成が日々の受付業務に組み込まれるため、報告や荷主対応のために別途集計する作業が発生しません。ただし、システムを入れれば法対応が完了するというものではありません。求められているのは荷待ち時間の短縮であり、システムはその実態を把握するための道具です。
よくある質問
- 物流効率化法で倉庫は何をしなければいけませんか?
- すべての荷主・物流事業者に対する努力義務として、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮の3つが求められています。2025年度から適用されています。
- 特定倉庫業者になる基準は何ですか?
- 貨物の保管量70万トン以上です。該当すると2026年度から中長期計画の作成や定期報告などの義務が生じます。
- 荷役等時間にはどこまで含まれますか?
- 荷積み・荷卸しに加え、検品、荷造り、搬出・搬入、保管、仕分、商品陳列、ラベル貼り、代金の取立て・立替え、荷主等が行う荷役への立会いなどの附帯業務が含まれます。運送事業者の指示による休憩時間は除かれます。
- 記録の様式は決まっていますか?
- 物流効率化法のポータルサイトには、記録・測定の具体的な方法や様式についての指示は記載されていません(2026年8月時点)。
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