省力化投資補助金(一般型)の採択率は6割から7割|第1回から第5回の実績と採択者の業種
中小企業省力化投資補助金(一般型)の採択率は、第1回から第5回までの通算で65.9%です。申請9,879者に対して採択6,508者。回ごとの幅は60.9%から69.3%で、大きくは動いていません。採択者の業種は製造業が第1回61.7%から第5回49.7%へ下がり、建設業が11.3%から17.7%へ上がっています。運輸業・郵便業は一貫して0.9%から1.7%です。物流の設備投資にこの制度を使うなら、運送事業者ではなく荷主である製造業の立場から申請するのが実態に合います。
補助金の採択率としては高い部類に入りますが、この数字を「落ちにくい」と読むのは誤りで、要件を満たせない事業者が応募の段階で脱落していると読むのが正確です。
第1回から第5回までの実績
数字は独立行政法人中小企業基盤整備機構が公表しています(中小企業基盤整備機構「採択結果(一般型)」)。
| 公募回 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 1,809 | 1,240 | 68.5% |
| 第2回 | 1,160 | 707 | 60.9% |
| 第3回 | 2,775 | 1,854 | 66.8% |
| 第4回 | 2,100 | 1,456 | 69.3% |
| 第5回 | 2,035 | 1,251 | 61.5% |
| 通算 | 9,879 | 6,508 | 65.9% |
第1回は令和7年1月30日から3月31日までの公募で、採択の公表が6月16日でした(中小企業庁「中小企業省力化投資補助事業(一般型)第1回公募の補助金交付候補者を採択しました」)。申請から結果が出るまで2か月半ほどかかっています。
申請数は回によって倍以上動いていますが、採択率はほとんど動いていません。第2回の1,160者から第3回の2,775者へ申請が2.4倍に増えても、採択率は60.9%から66.8%へむしろ上がりました。採択数を先に決めて上から順に切る審査であれば、こうはならないはずです。基準を満たすかどうかで判定していると読むのが自然で、競争率を気にして申請を見送る理由は、この制度には見当たりません。
採択者の半数は製造業。運輸業は1%台
採択結果の概要には、採択者の主たる業種が公表されています。
| 業種 | 第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 |
|---|---|---|---|---|---|
| 製造業 | 61.7% | 58.4% | 51.3% | 50.1% | 49.7% |
| 建設業 | 11.3% | 12.4% | 15.5% | 15.9% | 17.7% |
| 卸売業 | 5.9% | 6.8% | 5.3% | 5.9% | 4.2% |
| 小売業 | 2.3% | 2.7% | 3.9% | 2.2% | 2.7% |
| 運輸業、郵便業 | 0.9% | 1.4% | 1.7% | 1.5% | 1.5% |
製造業は回を追って12ポイント下がり、建設業は6ポイント上がりました。制度が知られるにつれて申請する業種が広がったように見えますが、製造業は依然として半数を占めています。
物流の実務で気にしておきたいのは、運輸業・郵便業が5回とも1%台にとどまっている点です。採択6,508者のうち、運輸業として集計されたのは100者前後にすぎず、トラック運送事業者が主体になって取る制度ではないことが数字から読み取れます。荷待ちを減らすための設備投資にこの制度を使うなら、申請するのは荷主である製造業の側です。自社倉庫を持つ製造業が自社の出荷場に受付や入退場管理の仕組みを入れる形であれば、製造業49.7%から61.7%という採択の本流に乗れます。
申請額は1,500万円台が最多
採択者の補助金申請額の分布も公表されており、第1回から第5回まで一貫して1,500万円以上1,750万円未満の区分が最も多くなっています。一般型の補助上限は従業員規模によって750万円から1億円まで開きがあるものの、実際に多いのはこの帯で、補助率2分の1で計算すると投資額は3,000万円から3,500万円になります。制度の説明では1億円という上限の数字が目に入りますが、実勢はその6分の1あたりに集まっています。
他の制度と比べてどうか
同じ物流分野で比べられる数字として、経済産業省の連携実証事業があります。こちらは応募43件に対して採択19件で、採択率44.2%でした(連携実証事業の採択19件を読む)。
採択率は省力化投資補助金のほうが20ポイント高いものの、2つの制度は応募の条件も規模も異なります。連携実証事業は3社以上の連携体が要件で、応募そのものが43件にとどまりました。省力化は単独で申請でき、1回あたり1,000者から2,700者が応募します。母数の桁が2つ違う制度を採択率だけで並べても、比較にはなりません。
どちらを使うかは、投資の中身を先に決めてから選びます。3社で組む実証なら連携実証事業、自社単独の省力化なら省力化投資補助金が候補です。制度の詳しい違いは荷待ち対策に補助金は使えるかと物流効率化の実証事業とはにまとめました。
採択率が高い制度で落ちる理由
6割から7割が通る制度で落ちる場合、原因は競争よりも要件と計画の書き方にあります。対象経費の区分に合っていない、労働生産性の目標値が計算できていない、賃上げの要件を満たす見込みが立っていない、省力化の効果を数字で示せていない、といった詰まり方はいずれも審査の前段階の話で、公募要領を読み込めば自分で解消できます。不採択の理由は公表されていないので、ここに挙げたのは当社が相談を受けるなかで実際に見てきた例であって、統計ではありません。
荷待ち対策で申請するなら、待たせている時間の現状値が要ります。いま何分待たせていて、それを何分にするのかを計画に書くことになるため、記録がない状態から書き始めると、この項目で手が止まります。記録の実務は荷待ち時間の記録は義務かに整理しました。
申請の進め方については補助金申請支援で、支援の範囲と料金を公開しています。
この記事は2026年8月15日時点の公開情報にもとづきます。採択率は公表されている申請数と採択数から当社が計算したもので、中小企業基盤整備機構が採択率として公表している数値ではありません。業種別の割合は採択結果概要の記載をそのまま引用しています。
よくある質問
- 省力化投資補助金の採択率はどのくらいですか?
- 一般型の第1回から第5回までの通算で65.9%です。申請9,879者に対して採択6,508者でした。回ごとでは60.9%から69.3%の幅で推移しています。
- 回によって採択率は大きく変わりますか?
- 大きくは変わりません。最も低い第2回が60.9%、最も高い第4回が69.3%で、9ポイント弱の差にとどまります。申請数は1,160者から2,775者まで倍以上動いていますが、採択率はその影響をあまり受けていません。
- 採択されているのはどんな業種ですか?
- 製造業が最も多く、第1回で61.7%、第5回で49.7%です。次いで建設業が11.3%から17.7%へ増えています。運輸業・郵便業は0.9%から1.7%で推移しており、採択者に占める割合は小さいままです。
- 採択者はいくら申請していますか?
- 補助金の申請額は、第1回から第5回まで一貫して1,500万円以上1,750万円未満が最も多い区分です。
- 物流の設備投資に使う場合、誰の名前で申請すべきですか?
- 採択実績を見る限り、運送事業者ではなく荷主である製造業の立場からの申請が実態に合います。運輸業・郵便業の採択割合が1%台にとどまる一方、製造業が半数前後を占めているためです。